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住友電工の情報通信分野においては、以前のLANビジネスから近年のADSLなどによるアクセス機器ビジネスにわたるまで続く、データ通信機器ビジネスという大きな柱がありました。電話技術に携わる者としては、電話機器ビジネスに本格的に参入し、データ通信機器ビジネスに並び立つ事業へと育てることが念願でした。その最初のステップが、2003年春に製品化し、通信事業者に採用されたIP電話機能を付加したADSLモデムです。
ADSL上でIP電話を使おうという機運はアメリカから高まっていましたが、日本にはなかなか波及しませんでした。IP電話は従来の電話に比べてコスト面では優位性を持つものの、音声品質や信頼性が疑問視されていたからです。そもそも、日本の大手通信事業者が当初はIP電話に積極的でなかったという事情もあります。しかし住友電工では、これを電話機器ビジネスに参入するための絶好のチャンスと考え、「どの通信事業者なら潜在的なニーズを持っているか」「どんな技術を搭載すれば通信事業者のサービス開始への不安を取り除けるか」を様々な事業者への訪問を繰り返して地道にリサーチし、それらを製品へ落とし込んでいきました。技術者として純粋に研究開発を行うことはもちろん大切ですが、変化がめまぐるしい情報通信分野においては、顧客や市場の声を拾い上げて時代の流れを先読みし、将来に向けた開発の方向性を考えることが同じように重要だと感じています。
現在、IP電話端末ビジネスは事業部門である住友電工ネットワークス(株)の柱の1つとして評価をいただいています。しかし、電話というライフラインを支えることの責任の大きさも感じています。不具合による通信異常が許される製品ではありません。そのため、社内での検証体制を強固にするだけでなく、社外の第3者機関から出荷前チェックを受ける体制も確立しました。通信技術の進歩は新たなソフトウェアの開発を必要とし、その都度、検証が必要になります。終わることのないサイクルかもしれませんが、その責任を果たし続けることこそ、私たちの使命だと思っています。
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