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Researcher Clip - sep 04,2007 VoIPの実用化と普及を支える技術を開発。さらなる高機能通信技術に挑む 情報通信研究所ネットワークシステム研究部IP端末グループ グループ長 富村 栄治

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1988年入社。ISDN交換機開発、FDDI-ATM中継装置開発、米国駐在(先端ネットワーク技術調査・研究)などを経て、2001年よりIP電話技術の研究開発に携わる。2006年には研究開発部門賞で銅賞を受賞。工学部計数工学科出身。

01 研究内容 02 住友電工だからできること

研究内容

ISDN時代に培ったノウハウでIP電話技術をリードする

 VoIP(Voice over IP)技術を利用するIP電話機能の研究開発を中心に、住友電工の宅内ゲートウェイ製品向けの新たな要素技術の研究開発を行うのが私の仕事です。主として取り組むのは組み込み用ソフトウェアの開発であり、当社の宅内ゲートウェイ上で動作させて、IP電話などの機能を実現しています。

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 私が入社したのは、ちょうど、ISDNサービスが開始された頃。電話システムをすべてデジタル化したうえでデータ通信までも行おうというISDNの技術開発に携わることにより、電話システムの仕組みを根本から学ぶことができました。これが現在のVoIP技術に大いに役立っています。というのも実は、ISDN開発を担当していた時期に電話の交換機ソフトウェアの構造・構成を調査し、自らソフトウェア開発を行ってISDN交換機を試作しました。このときに開発した交換機ソフトウェア構造を、IP電話技術開発時にもいち早く採用したのです。その結果、IP電話の交換機能をサポートする宅内ゲートウェイを短期間で開発・製品化することができました。またこの成果により、今後の普及が予測されるNGNビジネスへの展望を開くこともできました。

幾重にも張り巡らせたチェック網でライフラインを支える
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 住友電工の情報通信分野においては、以前のLANビジネスから近年のADSLなどによるアクセス機器ビジネスにわたるまで続く、データ通信機器ビジネスという大きな柱がありました。電話技術に携わる者としては、電話機器ビジネスに本格的に参入し、データ通信機器ビジネスに並び立つ事業へと育てることが念願でした。その最初のステップが、2003年春に製品化し、通信事業者に採用されたIP電話機能を付加したADSLモデムです。

 ADSL上でIP電話を使おうという機運はアメリカから高まっていましたが、日本にはなかなか波及しませんでした。IP電話は従来の電話に比べてコスト面では優位性を持つものの、音声品質や信頼性が疑問視されていたからです。そもそも、日本の大手通信事業者が当初はIP電話に積極的でなかったという事情もあります。しかし住友電工では、これを電話機器ビジネスに参入するための絶好のチャンスと考え、「どの通信事業者なら潜在的なニーズを持っているか」「どんな技術を搭載すれば通信事業者のサービス開始への不安を取り除けるか」を様々な事業者への訪問を繰り返して地道にリサーチし、それらを製品へ落とし込んでいきました。技術者として純粋に研究開発を行うことはもちろん大切ですが、変化がめまぐるしい情報通信分野においては、顧客や市場の声を拾い上げて時代の流れを先読みし、将来に向けた開発の方向性を考えることが同じように重要だと感じています。

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 現在、IP電話端末ビジネスは事業部門である住友電工ネットワークス(株)の柱の1つとして評価をいただいています。しかし、電話というライフラインを支えることの責任の大きさも感じています。不具合による通信異常が許される製品ではありません。そのため、社内での検証体制を強固にするだけでなく、社外の第3者機関から出荷前チェックを受ける体制も確立しました。通信技術の進歩は新たなソフトウェアの開発を必要とし、その都度、検証が必要になります。終わることのないサイクルかもしれませんが、その責任を果たし続けることこそ、私たちの使命だと思っています。

住友電工だからできること

時代の先を見据えた研究開発とモノづくり
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 住友電工には、私が担当するVoIPをはじめ、ADSL、高速光アクセス通信を支えるGE-PONなど、現在の情報通信インフラを支える技術がそろっています。これは、スピーディな開発には大きな力となっています。そして、ADSLやGE-PONのように、ある技術が顧客開拓・拡大の突破口となり、VoIPなどの他の技術をけん引して大きなビジネスに発展させられるというメリットもあります。

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 現在、私たちが携わっている技術は基本的には固定通信に関するものです。しかし、今後はますます、移動通信に関する技術が発達するでしょう。携帯電話サイズの端末を常に持ち歩き、ありとあらゆる場所で通信を行うことが珍しくない時代がすぐそこまで来ています。その時、私たちはどのような顧客にどのような技術・製品を提供していくか。情報通信分野の進歩は、なかなか予想がつかない面もあります。特に現在は混沌としており、VoIPの黎明期に顧客の声を聞いて回っていた時期とよく似ているかもしれません。今一度、顧客の声に徹底的に耳を傾け、次の時代を先取る技術開発を進めることが現在の目標です。

専門用語紹介

▼ VoIP
Voice Over Internet Protocolの略。インターネットなどIPネットワーク上で音声通話を行う技術。IPネットワークは回線使用効率が高いため、通話料金を抑えることができる

▼ NGN
Next Generation Networkの略。次世代通信網。電話網に替わる通信インフラとしてIP網を活用しようというもの。NGNでは、音声だけでなく、映像など、あらゆるデータ通信がIPに統合される

▼ GE-PON
Gigabit Ethernet Passive Optical Networkの略。ギガビットイーサネットの伝送方式を用いた光ファイバ共用型ネットワーク装置。IEEE 802.3ah標準

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