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開発当初は、わずか数Aの電流を流すと超電導状態が失われて抵抗が発生する特性の低いもので、長さも手のひらに載るほど短く、これが超電導線か?と訝しげに見られるようなものでした。それが2002年に液体窒素冷却で100A、2006年には200Aを達成し、2000メートルという長尺化にも成功しました。この過程では、超電導体の純度、密度、結晶配向、そして線材全体にしめる超電導体のボリュームの4点が改良ポイントとなりました。
ビスマス系酸化物超電導体はBi、Sr、Ca、Cu、Oという5つの元素が非常に複雑な構造をなすセラミックスで、限られた温度でしか化学的に安定しない、たいへん合成の難しい材料です。当初発見された材料も純度が低く、特性が低い不純物が混ざったものでしたが、微量のPbを添加し、微細粉末原料の加工・合成条件を極めることで純度の高いものが得られるようになりました。密度は、途中で圧縮加工を入れて2度にわたって焼結を行うという方法を開発し、密度90%の緻密な組織を作り上げました。
これらの成果によって、ゼロ抵抗状態で流すことができる最大の電流値である臨界電流の高い材料を得られるようになってきたのですが、線材として様々な形状のコイルやケーブルに利用するには、フレキシブルで長いものにすることが不可欠です。硬くて脆いセラミックスをどうすれば、柔らかくて長い線にできるか。このときに採用したのが、セラミックスを非常に細いフィラメントにし、銀の中に多数埋め込んだ多芯構造という方法です。これにより、1000メートルを超える長い線材化に成功しました。さらに加工プロセスを改良して、銀の量を減らし、長さと柔らかさを維持しながら超電導体の比率を上げていきました。これらの工夫の結果、2002年には断面積が1平方ミリという細い線材で臨界電流100Aを液体窒素冷却で達成しました。この電流密度は銅線の100倍に相当する高い特性です。
実用化に向けた大きな山となったのが、バルーニングと呼ばれる欠陥の問題でした。これは超電導体内部の小さな隙間に侵入した液体窒素が、室温に戻されたときにガス化し、線材を膨れ上がらせる現象です。セラミックスであるがゆえの宿命とも言えるこの現象には、300気圧の高圧下で最終焼成を行い密度が100%の焼結体とする技術を開発して対処しました。この高圧焼結技術によって臨界電流はさらに向上し、2006年、工業的に長尺線材の量産が可能な製法を用いながら、201Aを達成したのです。
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