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研究段階での低転位化成功から、品質・歩留を向上させつつ量産化を目指すという過程では、社内に事業部門や設備部門といった、製品が生み出されてユーザに届くまでを担当する全部署が備わっていることが大きな力になりました。研究開発では、眼前の現象や自身の目標にとらわれ、ときに独り善がりになってしまいます。しかし、事業部門と密度の濃いコミュニケーションを容易に図れたため、下工程や顧客の要望をくみ取り、それに応えるためのスペックを考え抜くことができました。また、結晶の開発者である私自身が主体的に設備の開発に携れたことも重要な成功要因です。このプロセスでは、設備部門は強力に私をサポートしてくれました。そして、事業部門は顧客の要望という観点から、絶えず改善・改良を推し進めてくれました。これが、品質・コスト・生産量のあらゆる点で優位性の高い製品を生み出せた原動力となっています。
住友電工は、材料技術に強い会社であると自負しておりますし、社外からもそのような評価をいただいております。実際、GaAsやInPで蓄積されてきた世界をリードする化合物半導体の開発ノウハウが、GaNへも余すところなく受け継がれました。また、社内には、材料技術に関する「生き字引」とも言えるベテラン技術者が数多くいます。GaN基板の開発においても、要所で貴重なバックアップをもらえました。これがなければ、本プロジェクトの成功はなし得なかったでしょう。
先輩方から教えられ、私自身も深く胸に刻み込んでいるのが、「現場にこそサイエンスがある」ということ。ものづくりの現場では、研究室では考えられないような不測の事態が起こります。目で見て確認できないもの、簡単には説明のつかない現象など、想定外の事態だらけです。しかし、それらこそをサイエンスととらえ、泥臭い努力を積み重ねながら解を導き出していく。「いぶし銀」とも言えるそんな姿勢が、世界的な成果へとつながっているのです。
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