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Researcher Clip No,03

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Researcher Clip - dec 25,2006目標はアクセス系の制覇。通信を発展させることで、家庭に人が集う時代を生み出したい 伝送デバイス研究所光通信デバイ研究部 Bi-Dデバイス開発グループ長 中西 裕美

伝送デバイス研究所光通信デバイ研究部 Bi-Dデバイス開発グループ長 中西 裕美 イメージ

研究開発本部伝送デバイス研究所光通信デバイス研究部Bi-Dデバイス開発グループ長。1987年の入社以来、光通信用光モジュールの開発に携わる。2006年、「光アクセス系用途のキーデバイス一心双方向モジュールの開発」がGE-PON光アクセスおよびモジュールの開発の成果を認められ、研究開発部門賞金賞を受賞。

01 研究内容 02 住友電工だからできること

研究内容

LDとSMFのモジュールにより、アクセス系の時代を先取る
伝送デバイス研究所光通信デバイ研究部 Bi-Dデバイス開発グループ長 中西 裕美 イメージ01

 LDやPDといったデバイスとSMFを光結合させた光モジュールの開発が、私たちが携わる仕事です。とはいえ、最初からLDやSMFを用いたわけではありません。私が入社したころは、光源にはLDではなく、光出力の小さいLEDを使っていたものです。また、伝送速度も遅く、長距離伝送もできないMMFを用いていました。現在からすると性能面では比べるべくもないのですが、当時、それらに関する技術は社内に蓄積されておらず、まったくの手探り状態。部品設計はもちろん、実装、設備設計、起案まで行ってきました。試行錯誤の連続でしたが、当時開発した技術が事業部へ移管され、月産30万個という量産ラインが構築されるまでにいたっています。

 LEDとMMFを使ったモジュールが主流であった当時、光通信は北米市場でLAN用として使われていました。しかし私たちは、必ずや各家庭まで光通信が行き届くアクセス系の時代がやってくると信じていました。そこで、新たな目標設定として、「アクセス系を制する」というものを掲げたのです。

GE-PONの成功に大きく寄与。目標達成への執念が実る
伝送デバイス研究所光通信デバイ研究部 Bi-Dデバイス開発グループ長 中西 裕美 イメージ02

 アクセス系では、光源であるLEDに代わりLD、MMFに代わりSMFが使われます。LDはLEDに比べてコストが10倍。それを、設計で調整することにより、なんとかコストの抑制を図りました。また、SMFは光導波部分が非常に小さいため、ほんのわずかなズレも許されません。1ミクロン以下の精度でアッセンブリーを行わなければいけないという困難な技術に対しても、レーザデバイスやレンズ、回路など、すべてをいちから考案し、品質の向上とトータルでのコストダウン、そして量産を目指して開発を行ったものです。

 この開発の過程では、リスクは大きくとも興味深い技術に積極的にチャレンジしました。もちろん、失敗したものもたくさんあります。でも、チャレンジするからこそ得られた発見も数多くありました。それに、失敗をして「しまった」と思う気持ちが、次の挑戦へのエネルギーにもなりました。

伝送デバイス研究所光通信デバイ研究部 Bi-Dデバイス開発グループ長 中西 裕美 イメージ03

 2006年、私たちは3年がかりで開発してきたFTTH時代を主導する「GE-PON」に利用する光モジュールを完成させました。1Gbpsの通信速度を複数回線で共有できる、速度面でもコスト面でも優位性を持つGE-PONは、多くの通信事業者で採用されています。ここで使われたモジュールの開発成功は、まさに「アクセス系を制す」という目標へ向けた取り組みの成果だと言えます。通信における局側の技術であるGE-PONに続き、次の目標は個別の家庭側で活用する光モジュールの技術です。これにより、文字通り、アクセス系を制覇したいと考えています。

住友電工だからできること

人とのつながりが濃密だからこそ、最適な解を導き出せる

 住友電工の強みは、研究開発から設備部門、事業部門といった製品が誕生してから顧客に届くまでのあらゆる部門を垂直に統合していることです。顧客からカスタマイズの要望があれば、開発部門までさかのぼった改良を迅速に行えます。また、開発者が意図した製品のコンセプトが、それを実現する設備設計にも活かされ、ぶれなく量産へと伝えられます。もちろん、各部門が意見を出し合って、最適な方法を見つけ出すことも頻繁。ものづくりにおけるキーパーソンがすべて社内におり、自由に意見交換できるからこそ、他社では見つけ出せないような解を発見することができるのです。

 また、自分が直接携わらない分野にしても、社内には役立つノウハウや知恵を持った人が数多くいます。そんな人たちとの交流を活発に持つことで、思わぬヒントを得られたり、壁を突破するきっかけをつかめたりするのです。ものづくりにおいて、人とのつながりほど強力な武器はありません。それを非常に得やすい環境にあるからこそ、これまでの成果があげられたと思います。

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 通信技術に代表されるように、便利さや合理性を追究してきた現代の技術は、人と人とのつながりを希薄にさせてきたように思います。しかし、高速・大容量のアクセス系技術がもっと進歩すれば、人は再び家庭に集うようになるのではないでしょうか。ものづくりの過程で感じている人間同士のつながりの大切さや喜びを、アクセス系技術を通じて多くの人にも感じてもらいたい—。それが、さらなる技術開発に没頭する原動力でもあるんです。

専門用語紹介

▼ LD
Laser Diodeの略

▼ PD
Photo Diodeの略

▼ MMF
Multi Mode Fiberの略。取り扱いが比較的簡単というメリットがあるが、伝送速度に劣り、かつ長距離伝送に対応できない

▼ SMF
Single Mode Fiberの略。高速・大容量のデータ伝送が可能というメリットを持つが、大きな屈曲に対応できず取り扱いが難しい

▼ FTTH
Fiber to the Homeの略

▼ GE-PON
Gigabit Ethernet Passive Optical Networkの略。ギガビットイーサネットの伝送方式を用いた受動型光ネットワーク。IEEE802.3標準

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