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斬新なデザインが決め手となったマルチドリル開発

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PROJECT STORY 02

斬新なデザインが決め手となったマルチドリル開発 「住友電工ハードメタル(株)」の看板製品

斬新なデザインが決め手となったマルチドリル開発 「住友電工ハードメタル(株)」の看板製品 イメージ

住友電工ハードメタル(株)は、2003年4月に切削工具の専業メーカーとして設立され、国内外に17ヶ所の製造・販売拠点を有する超硬切削工具を主製品とするメーカーです。 「マルチドリル」は、住友電工ハードメタル(株)の売り上げ・損益にも大きく貢献し、2001年には「大阪優秀発明賞」を受賞、そのほかいくつもの賞を受賞するなど、「スミボロン」と並ぶ看板製品です。

斬新なデザインが決め手となったマルチドリル開発 「住友電工ハードメタル(株)」の看板製品 イメージ
今回のプロジェクトストーリーでは、マルチドリルの開発を紹介します。 森 良克(もり よしかつ)住友電工ハードメタル株式会社 理事・技師長
「これで鋼の穴をあけられました」「うそだろう」

−初めて折れなかった超硬ドリルを見せた時に開発の大先輩がもらした言葉は、超硬ドリル(商品名「マルチドリル」)のデザインがそれまでの常識を覆すものであったことを物語っていました。 試行錯誤の果てにたどり着いた「マルチドリル」の円弧切刃形状は古い文献の中で、だめなデザインの例として示されていた形状でした。「マルチドリル」はドリルの世界に革新をもたらし、ドリル全体に占める超硬ドリルの割合を約15%(1980年)から約50%(2005年)にまで拡大させる原動力となりました。

マルチドリル
もくじ

01. 超硬ドリルを開発する

02. 切りくずをデザインする

03. エンジニアリング力をみがく

04. 生産体制の構築

05. サービス体制の構築(再研削ネットワーク)

06. 知財戦略の推進

07. 新製品の開発

08. 最後に

01. 超硬ドリルを開発する

 高能率加工をめざして、切削工具の主役は高速度鋼から超硬合金に置きかわりつつありましたが、1980年代前半ではドリルが時代の波に取り残されていました。ドリルは他の切削工具と異なり、切削と同時に生成される切りくずを排出する機能もあわせ持つ必要があります。この一見単純に思われる切りくずを排出するという機能が、ドリルの超硬化を阻んでいました。ドリルを設計するにあたって、切りくずを排出するためのスペースを確保しつつ、ドリルの断面積をどこまで大きくできるか、ドリル全体の強度をいかに高められるかがポイントになります。 溝面積との兼ね合いで断面積が制約されるドリルに超硬合金のような脆性材料を適用することは極めて困難とされていました。ドリル径が小さくなればなるほどむずかしくなるのです。 当時、鋼材加工用ドリルの分野では当社はライバルメーカーの後塵を拝していました。そこで超硬ドリルを開発するにあたって、開発は困難とされていたが需要は大きい小径(直径10mm以下)のドリルをターゲットとしたのです。

02.切りくずをデザインする

切りくず生成の状況

 「真っ暗なトンネルを高速で走るツイストジェットコースターに乗っているような夢を何回も見た」というほどに開発は暗中模索の状態が続きました。直径 10mmのドリルでは約300kgの力がかかるため、これに耐える強度が必要であり、ドリルの断面積を大きくして強度アップを図らねばならないことは明らかでした。問題はドリルの断面積を大きくした分だけ小さくなった溝から切りくずをスムーズに排出することでした。穴あけにより生成する切りくずの形状でドリルの切削能力は左右されてしまいます。つまり切りくずの容量が大きいとドリルの溝の中で切りくずがつまってしまうのに対して、切りくずが短く、細かく切断されていれば切りくずの排出はスムーズになります。幾度となく試作評価を繰り返す中で、ある日ドリルの切刃の形状を円弧状にすることで短く、細かい切りくずができ、切りくずが排出されやすくなることを発見しました。円弧状の切刃はそれまでのドリルには見られない斬新なデザインであったため、小径の鋼材料の穴あけができる超硬ドリル開発に成功したことは、すぐには開発仲間に信じてもらえませんでした。

切りくず生成の写真
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